次期社長の溺愛が凄すぎます!
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ストレートが取り柄の髪の毛は、ゆるく巻いてハーフアップにする。

顔立ちが母さんに似て派手だから、ちょっとメイクするとド派手になるけれど、極力ナチュラルに見える方向に頑張った。

真っ赤なワンピースは、身ごろはぴったりしているけど、袖口が広がるタイプなので中には黒の長袖Tシャツを着込む。

スカートは膝丈だから、防寒対策に黒いタイツ。

これにパンプスとブーツを合わせるか……少しだけ考えて、ストラップがついた黒のパンプスにした。

羽織ったピーコートもバッグも黒にしたから、色合い的には黒がメイン。コートを脱いだら赤がメインになる。

その姿に、車の前で立って待っていてくれたらしい藤宮さんは、無表情で無言。

「どこかおかしいですか?」

「いや。綺麗だなと思った」

この人は……歯の浮くようなセリフをいつも真顔で言うよね。

そのうち歯がウキウキとどっかにいっちゃうんじゃないの?

対する藤宮さんは、白のワイシャツにオレンジ色のセーター、その上に濃紺のテーラードジャケットを合わせて、黒のスキニーパンツ。

……男の子のお洒落はわからないけど、似合っていると思う。

「乗ってくれ」

助手席のドアを開けてくれたから乗り込むと、彼は運転席にまわってきた。
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