次期社長の溺愛が凄すぎます!
「今日は末松さんはいないんですか?」

「夕飯には酒を飲みたいから、すでに代行は頼んである」

聞いてるのはそこじゃないんだ。

たまに斜め上の返答が返ってくるから困るかもしれない。

車が動き始めると、藤宮さんは小さく笑った。

「末松に邪魔はされたくないな。それに、彼には彼の休日がある。誘うのも悪いだろう」

私の休日なら、誘っても悪くはないのか。

思わず胡乱な目で彼を眺めていたら、肩を震わせて笑い始めた。

「少し早いが、先に昼にしよう。何か食べたいものはあるか?」

「昨日テレビを見ていて、エビチリが食べたいなって思っていたんです。作ってもよかったけど、せっかく家まで送ってもらったのに、また買い出しに行くのも面倒で、ビールも開けちゃったからソーセージにしました」

「ああ。昨日も晩飯に誘えばよかったかな。まだ社用があったから、慌ただしいことになったかもしれないが」

笑いながら言われて肩を竦めた。

しょっちゅう誘われても困る。だいたい壁を築こうと思っているのに、こう……ぐいぐい来られると混乱する。


そういうわけで昼食は中華の名店に連れていかれ、ランチなのに万単位のお会計に立ちくらみしそうになった。

いや、フカヒレとか燕の巣とか干しアワビとか、藤宮さんがどんどん勧めるから、がんがん食べた私も悪い。

ちょっと調子に乗りましたとも。
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