次期社長の溺愛が凄すぎます!
舞踏会じゃないんですが
***
二月初めの土曜日。藤宮重工の創業80年に合わせての祝賀会。
開場には少し早い16時、待ち合わせに別のホテルのカフェを指定された。
「こんばんは、藤宮さん」
プロの手による華やかメイクで微笑むと、ゆっくりコーヒーを飲んでいたらしい藤宮さんが真顔で固まる。
淑やかにはほど遠いけれど、今日の私の装いは藤宮さんの選んだものだらけ。
買ってもらったカシミアのコートは、カフェに着いたときに脱いでいる。
藍色のワンピースの上に同色のボレロを羽織り、正面から見ると膝丈のスカートは、後ろに向かって丈が長くなっていくデザイン。
実際、この優雅なスカートは、歩く度にヒラヒラと足にまとわりついてきやがる。
首もとにはチョーカー、ワンポイントに小さな赤いバラ。レースの手袋。ハンドバックは有名ブランドものだ。
全部でいくらか、値段は考えない方向でいる。
極めつけに髪の毛はノリノリの美容師にいじられまくり、ぐるぐるモリモリ、赤バラがアクセントに刺さっていて……。
頭のなかもお花が咲きそうだよ。
「……ご不満?」
なにも言わないから眉を上げると、藤宮さんはニヤリと口角を上げた。
「大変満足かな。満足過ぎて箱にしまっておきたいくらいに」
「残念。箱入り娘じゃないですよー。こういったヒラヒラは慣れていませんし」
へらっと笑うと、苦笑された。
二月初めの土曜日。藤宮重工の創業80年に合わせての祝賀会。
開場には少し早い16時、待ち合わせに別のホテルのカフェを指定された。
「こんばんは、藤宮さん」
プロの手による華やかメイクで微笑むと、ゆっくりコーヒーを飲んでいたらしい藤宮さんが真顔で固まる。
淑やかにはほど遠いけれど、今日の私の装いは藤宮さんの選んだものだらけ。
買ってもらったカシミアのコートは、カフェに着いたときに脱いでいる。
藍色のワンピースの上に同色のボレロを羽織り、正面から見ると膝丈のスカートは、後ろに向かって丈が長くなっていくデザイン。
実際、この優雅なスカートは、歩く度にヒラヒラと足にまとわりついてきやがる。
首もとにはチョーカー、ワンポイントに小さな赤いバラ。レースの手袋。ハンドバックは有名ブランドものだ。
全部でいくらか、値段は考えない方向でいる。
極めつけに髪の毛はノリノリの美容師にいじられまくり、ぐるぐるモリモリ、赤バラがアクセントに刺さっていて……。
頭のなかもお花が咲きそうだよ。
「……ご不満?」
なにも言わないから眉を上げると、藤宮さんはニヤリと口角を上げた。
「大変満足かな。満足過ぎて箱にしまっておきたいくらいに」
「残念。箱入り娘じゃないですよー。こういったヒラヒラは慣れていませんし」
へらっと笑うと、苦笑された。