次期社長の溺愛が凄すぎます!
「紹介相手、ご存じだったんですか?」

「昨日連絡があった」

昨日、彼女から連絡がきたの?

「会社社長の子供ってのは、世界が広いようで狭いからね。俺の友人経由で連絡してきた」

何の連絡なんだろう。

好奇心にまかせて聞いてしまうのは簡単だけど、それを聞くほど藤宮さんとは親密な関係でもないし、どうしようか迷っていたら、あっさり藤宮さんは口を開いた。

「見合いをぶち壊しにすると言われた。特に俺に非があるわけではなく、他に好きな相手がいるから見合いは願い下げだと。当日は友人を連れて派手な格好をしていくから、そのつもりでいてくれと言われた」

「へ、へぇ……なかなか、筋を通される女性なんですね」

言いながら、派手にまわりの視線を集めている彼女を眺める。

あたふたと彼女のまわりをうろついているのは、松代商事の社長さんだろうか。

藤宮社長が肩を叩くと、飛び上がらんばかりに驚いている様子が哀れだ。

「最初は驚いたが、まぁ、俺も見合いは遠慮したいから、こちらからもお願いした」

「藤宮さんもお願いしたんですか?」

「ああ。意中の女性を口説いている最中だから、そうしてくれると助かる。思う存分ぶち壊してほしいと」

ギュッと手を握られてびっくり彼を振り仰いだ私と、私を見下ろしていた藤宮さんの真剣な視線がぶつかった。
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