次期社長の溺愛が凄すぎます!
***


一月もすでに半ばの月曜日。朝イチでなされたミーティングを終えて総務部に戻るなり、手渡された通達を見ながら目を細める。

「お帰りなさい、斎藤主任。朝からミーティングお疲れ様です。それで、何を難しい顔をされてるんですか?」

部下のひとりである、三島さんに声をかけられて顔を上げる。

「ん。ただいま。いやぁ、とうとう来たなって思ってね」

私の勤める藤エンジニアリングは、工場の設備の建設に係る、トータルサービスを提供している会社。

簡単にいうと、とある会社の何かの製造工場があるとして、その工場そのものを設計して作るのがうちの会社だ。


「ああ。藤宮重工の傘下にはいるんですってねぇ……さっき、部長が一足先におっしゃってました」

そもそも私が入社した当時から、藤宮重工とウチは取引先と顧客という関係性があった。

藤宮重工にだって、エンジニアリング事業部があるし、ウチにしかない技術なんてほんの一握りだしね。

まぁ、上層部ではいろいろとあったんだろうけど、この春から、正式に藤宮重工の子会社として藤エンジニアリングの名前が残るらしい。

世の中の荒波は、本当に大変だ。

「それで、主任はどうしてそんなに厳しい顔をしてるんです?」

「……明後日から、藤宮重工の本社に研修に行けって言われた」
< 8 / 197 >

この作品をシェア

pagetop