キミの取り扱い説明書~君が冷たくする理由~
ーコンコン!
【中山 琥珀】
と書かれた名前プレートがかけられた扉を
軽くノックしてみる。
すると…
「はーい」
中からやっぱり
いつも聞いている中山くんの声が聞こえた。
「…失礼しまぁす…」
小声でそう言って病室に入れば、
彼は大きな瞳を更に見開いて驚きを隠しきれないといった表情をしてみせた。
「こ、こんばんは…?」
やほっ!と、片手を軽く挙げて挨拶をしてみせると、
彼は未だにこの状況を把握できていないのか、
キョロキョロと辺りを見渡している。
「こ、こんばんは…じゃないでしょ。
何であんたがこんな所にいるのさ」
「何でって。偶然だよ偶然。
たまたまこの病室通りかけたから」
「…あのさ。あんたがやってることって、
軽くストーカーだよ?」
はぁ。と大袈裟にため息をつき、
俯く中山くんの表情は暗くて何も見えない。
「ストーカーって言われてもいい。
好きなんだもん」
「はぁ?…こんな所まで来て…勘弁してよ」
あり得ない。と言って頭を抱え込む中山くん。