キミの取り扱い説明書~君が冷たくする理由~
友情
「うっわ、ありえねー!!」
「ないわー」
「やっぱ最強!最高!さすが琥珀~」
「んなこと言ってねーで、
お前らも練習しろよな」
「「わかってるっつーの」」
お昼放課。
穂希と一緒にお昼ご飯を食べながら
窓の外を眺めて笑い合う。
「ほんっと、最強だわ。
あんな完璧人間、世の中にいるんだね」
穂希が隣で外にいる中山くんを見ながら言う。
大きなグラウンド。
たくさんの人の群れの中、目立つ中山くん。
今は友達とサッカー中みたいだけど、
まるで試合みたいに中山くんの周りには
たくさんのギャラリー。
いつもの事なんだけど、
サッカーがここまでできると思っていなかったのか、
皆キャーキャー騒ぎまくってる。
私は、といえば…
「あんた、行かなくていいの?」
「うん。」
病院で偶然会ったあの日以来、
つきまとうのも、毎日のように告白をするのも止めた。
もう、疲れちゃったってのが本音。
中山くんに振り回されてばかりいる毎日で何も考えてなかったんだけど、周りにもしかしたら"運命の人"がいるかもしれない。
なーんて、考えちゃったりして。
でも、こんな事してみたって頭から中山くんは消えていってはくれなくて…。
今だって、こうして遠くから見つめてる。
中山くんは私には、私にだけは冷たいけど。
皆には優しい。
人付き合いが上手いっていうのかな、
周りに友達がいっぱいでいつもたくさんの人達の中、
笑ってる所を見かける。
そんな中山くんの笑顔を見るのが、
日課ですっごく大好きで。
私がこうして頑張れているのも、
中山くんのお陰なんだよね。
恋愛は不平等だって、
どこかで聞いたことがあるけど
本当にそうなんだなって思う。
いくら自分を磨いたって、
いくら素敵な人になれたからって、
相手が好きになってくれるとは限らないし、
相手が別の人を好きになる可能性もある。
神様が本当にいるのなら、
神様は不公平だ。