キミの取り扱い説明書~君が冷たくする理由~
けど、普通にノコノコと着いていくのも
気が引けて、足取りが重くなる。
そして、ふいに足が止まる。と、
先輩は何も言わず私の腕を強く掴んで引っ張って
「きゃっ!」
空き教室へと無理やり引きずられた。
「ちょ、何するんですか!?」
「ごめんね。昼休み、もうそんなないし」
そう言って自分の時計を指差す先輩に、
あぁ。と私は頷く。
きっと、この人は早く要件を済ませたいんだ。
「俺のこと知ってる?」
「いえ」
全く知りません。
さっき穂希から聞いて初めて知りましたよ。
「そっか。少し残念だな。
けど別に。これから知っていって貰えればいいか」
な、なんだろう…この人。
何かさっきから…ちょっと、
「俺、優愛ちゃんのことずっと好きだったんだ」
えっ
「だから、付き合ってほしい」
えっ!?
この先輩が私のことを好き!?
あまりの衝撃に、
口をポカーンと開けることしかできなかった。
「あの私…」
"ごめんなさい。好きな人がいます"
そう言おうとしたのに