キミの取り扱い説明書~君が冷たくする理由~
「そういえばあんた、今日いいわけ?」
「ほえっ?」
何が?と首を傾げてみると、
穂希は「はぁーーー」 とながーくため息をついた。
いやいや、
そのため息、長すぎませんか?
ため息ってガッカリした時とか
面倒臭い時に出るようなものだよね?
そんな面倒臭い時に更に面倒臭い事をしては…
「ストーカーだよ。ストーカー」
そう軽々しくストーカーと口にする穂希は
何とも複雑な目で私に何かを訴えてくる。
まてまて。
「ちょっと待って!ストーカーって何。誰、?」
「そんなん、あんたに決まってるでしょ」
あんた以外に誰がいんのよ。とまで言われる始末。
「私、ストーカーちゃうし!」
「何いきなり関西弁になってんのさ」
「あ、つい、うっかり…」
「うっかり関西弁が出るのか、ある意味凄いな…」
「えへっ」
「"えへっ"じゃないわ!
はぁ。あんたのお守りも疲れるわ。
私、部活あるからじゃねー。」
「えっ!?」
そういえば。
穂希は女子バスケ部のエースだっけ。
凄いよ、。
私は帰宅部だし、勉強もできないし、
何も取り柄ないけど、穂希は運動ができるし、
美人だし…女子にも男子にも大人気。
羨まし過ぎるっ!!
「あんた、やっぱ抜けてるわ」
「へっ!?何いきなり」
「今日、帰り約束してたんじゃないのかい。」
「約束?」
「だーかーらー!琥珀だよ、琥珀」
「ぁぁぁあ!!」
中山くんとの約束、忘れてたぁー!
あぁ、最悪だ…。
自分のバカさ加減に、呆れるしかない。
あーっもう!
「今かよ。んじゃ、私行くから。
せいぜい頑張って追っかけなよ」
「え、いや。待っててくれてんじゃないかな!?」
昇降口で待ってるって言ってくれたし…。
「そうだといいけどね。んじゃ、バーイ」
それだけ言い捨て
穂希は走って部活へと去っていってしまった。
そして教室の中、ポツーンと残されてしまった私。
さみしい…
って!言ってる場合じゃないって!!
中山くん!待っててねー!!
心の中で叫び、
全速力で中山くんが待っているであろう昇降口へと向かっていった。