キミの取り扱い説明書~君が冷たくする理由~


「中山くんは、本当に私の事が大嫌いなんだね」



じゃなきゃ、こんな冷たく接したりしないでしょ?



「は?」



私以外の女の子には優しいもんね?



「私、嫌われるような事、した?」



「何言ってんの?俺は、ただ!…っ、」


そこまで言うと、

彼は一瞬苦しそうに顔を歪めて下を向いた。



「何?ただ、何なの?」



「…何でもない」



「大丈夫?…の一言も、ないしっ」



心配して来てくれたのかと、

思ったのに。



「いっつも、いっつも私にだけ冷たくしてくるしっ」


"私にだけ"


なんて、



「私、中山くんのそういう所が
ほんっとにだいっきらい!!」



気がついたら、そう言ってしまっていた。



空からは



大量の雨。



雨に打たれながら、


うつむく彼の表情はよく分からないけど、


泣いてるように見えた。



けど、



彼が泣くなんてまずあり得ないことだ。


それに、泣く理由がどこにある。
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