キミの取り扱い説明書~君が冷たくする理由~

嫉妬


「なーに朝からため息ばっかついてんのさ。
ため息ついてたら幸せ逃げる~!
ってこの前叫んでたじゃない」


さっきからため息ばかりで止まらぬ私を
心配そうに見つめる目に思わずウルッとくる。


「穂希みたいな
優しい親友を持つ私は1番の幸せ者だぁぁあ」


ありがとうー!と勢いよく穂希に抱きつく。


「そりゃどうも。けど、1番ではないんじゃない?」


「へ、いやいや。多分、いや絶対。
1番の幸せ者だって!」


「ふーん。私は更に、あんたが
琥珀と付き合えたら1番の幸せ者だと思うけど?」


「ヴゥ!」


「ちょっと、変な声出すのやめて!」


「だっでぇぇぇー」


だって、だって。

穂希ってば中山くんの事、
"琥珀"って呼び捨てにするんだもーん!

穂希から"琥珀"って呼び捨てにされると何か
胸がズキズキして、嫌な気持ちになるんだよね。

それを表に出さないようになるべく気をつけてはいるんだけどさぁ。

これっていわゆる…嫉妬ってやつ?

こんなんで嫉妬しちゃうなんて、
私って心狭い奴?

穂希以外の女子は皆、"中山くん"って呼んでるのに、
穂希だけは下の名前で呼び捨てしてるし。

何かあるんじゃないか。とか、
実は付き合ってるんじゃないか。とか、
有りもしない変なことばっか考えて不安になって。

こんな事、穂希に言ったらきっと
幻滅されるだろうな。
< 6 / 44 >

この作品をシェア

pagetop