キミの取り扱い説明書~君が冷たくする理由~

昼放課。


いつもは決まって穂希とお昼食べてるんだけど、
今日はその穂希が先生に呼ばれていなくなっちゃったから一人ぼっち。

一人ぼっちでこの教室でお昼なんて…痛すぎる。

どっか一人で
ゆーっくりお昼食べられる場所に移動しよう。

ボーッとしながら取り敢えずグルグルと校舎を回っていると、いきなり後ろから肩を叩かれた。


「あっ、え?」


「急にごめんね。
君、さっきから不審な行動とってたから、
気になってさぁ(笑)」


「ええっ!?不審!?」


私にいきなり話しかけてきたのは、
全く知らない男子生徒だった。

何か、爽やか青年って感じ。
短髪な黒髪に、スッとした鼻筋。
身長も170以上はあるであろう。
話し方もおっとりしてて、
多分女子にモテるであろう。

私の愛人、中山くんとは正反対な人だ。
中山くんは、近寄るなオーラみたいなのを放ってて、
クールでスパイシーな…辛いカレーみたいな(笑)
でも、この人は、甘くて優しい雰囲気駄々漏れな…
甘いカレーみたいな感じかな(笑)


「俺、西崎 龍(にしざき りゅう)
っていうんだけど、知らない?」


「し、知りません…ごめんなさい…」


「あ、いいのいいの。気にしないで!」


やっぱり人気者なのだろうか、この人。
皆、この人の名前知ってたりして…。
でも、聞いたことのない名前に少しテンパる。


「君、名前は?」


「あ、えっと…相川です」


「相川ね。で、下の名前は?」


「えっ?っと…優愛です」


「相川…優愛…ちゃん?」


何か少し驚いたような顔をして私を見下ろす西崎くん。
何か変だった?


「…ふーん。なるほどね」


「はい?」


「ううん。何でもないよ」


そう言ってニコッと
どこか満足げ笑う西崎くんに引っかかる。

なるほどね、って何か自己完結した?
でも、何でもないって言ってたし…
私には関係のないことなのかも。
まぁ、気にしないでおこう。


「優愛ちゃんはお昼まだなんだよね?」


そう言って
私の手の中にあるお弁当箱を指差す西崎くん。


「そうなんです。
いつも一緒にいる友達が
ちょっと用事あっていなくて…」


「あ、そっか。食べる場所探してたんだ?」


「イエスです」


「じゃあ、着いてきなよ」


そう言ってそのまま
私に背を向けて歩いていこうとする西崎くん。


「へっ?」


「着いてきて?
とっておきのスペースがあるからさ」


「あ、ほんとですか!?やったぁ!」


「あ、あと。何で敬語なの?」


「えっ?だって年上…」


「アハハハ!何いってんの?俺らタメだよ?」


「え、ええっ!?ご、ごめんなさい!
じゃなくて…、ごめん(笑)」


「いいよーいいよー。
どうせ俺は老け顔ですよー!」


そうふて腐れたような顔で少し頬を膨らませる西崎くんに思わず笑ってしまう。


「そんな1年の違いでそう変わらないよ(笑)」


「いやいや、変わるから!
24と25じゃあ全然違うっしょ!?
四捨五入したら30なんだから!」


と自信満々にハッキリと言う彼に何て返したらいいかわからず、取り敢えず笑顔。笑顔。

だって…

まず何の話をしてるのか分からなくなってしまったから(笑)
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