佐野くんっ…!!
空港の中に入ろうとした。

でも、



グイッ…



「…っ!?」



健人くんに引き寄せられ、身動きが取れなくなった。


心臓の音が聞こえる。





健人くん…、ドキドキしてる……





私がそのままじっとしていると、



「…抵抗しないのか」


「…え」



ボソッと呟いた健人くんの声が上から降ってきた。


パッと私が顔を上げた瞬間と、



「あ!いたいた!佐野ー!」



三井くんが駆け寄ってきた瞬間が重なった。



健人くんは、チッと短く舌打ちをして、私の身体を離し、三井くんの方を振り返った。



「…なんだ、もう来たのかよ」


「悪いね〜、空港の中で迷っちゃってはぐれちゃった。…ていうかそれより佐野、顔赤…うぐっ!」



喋ってる途中の三井くんの口を健人くんが手で塞ぐ。



でも、三井くんの言う通りだった。




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