佐野くんっ…!!
さっきの健人くん、すごく顔、赤かった…
心做しか、胸がドキドキする。
と、ボーッと立っている私の肩をポンポン、と誰かが叩いてきた。
急いで振り返ると、
「どこ回る?佐野と三井はほっとこーぜ」
池田くんだった。
隣に西野くんも。
「…え、いや、あの2人も…」
「俺らは三倉と回りたいんだって!」
「そーそ!よしゃ、行くぞ!」
「え、ちょっ…!!」
困っている私の腕を2人に強引に掴まれ、両手の自由が効かなくなってしまった。
そしてそのまま早足で人通りの少ない路地の方まで連れられて行った。
「…ぷはっ、もー何だよ佐野、苦しかっただろ!」
「…悪ぃ」
一方この2人は背後で起きた連れ去りに気付かず、会話をしていた。