佐野くんっ…!!
転校の前前日ーーー



いつも通り誰も話しかけてはこない。

佐野くんも、だ。



私は屋上で一人、お弁当を食べていた。



「ここの景色を見るのも今日が最後かぁ…」



柵にもたれかかり、広い空を仰ぐ。



ギィ…



しばらくすると、屋上の扉が開く音が聞こえた。


チラと視線をそちらに遣ると、



「佐野くん…!」



購買のメロンパンを片手に持った彼と目が合った。


彼は何も言わず、私の隣に来た。


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