佐野くんっ…!!
沈黙の時間が続く。


先にその沈黙を破ったのは佐野くんだった。



「どこに転校するの?」


「え、えっと…」



男子校だなんて言えるはずがない。




「さ、佐野くんの知らない所」



彼はチラと横目で私を見て、



「ふーん」



また目線を柵越しに見える街に遣った。



「…俺さ」


「…?」


「三倉さんに勉強教えてもらったり、三倉さんと話すの、楽しかったよ」




…お世辞が上手いんだから




「だから昨日、もう関わらないで済むって言われた時、正直落ち込んだ」



佐野くんは照れくさそうに少しはにかんだ。


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