佐野くんっ…!!
「さっ、佐野く…」


「健人」


「え…?」



至近距離が恥ずかしく、顔を背けた私に佐野くんは言った。



「アイツ(健太)と一緒にされたくないから。健人って呼べ」



ドキッとした。





私が好きなのはーーー

浅見高校の佐野健太くん。

なのに、なんで突然お兄ちゃんなんかがーーー





暫く黙り込んでいると、佐野く…、いや、健人くんが声をかけてきた。



「…一人暮らしだから。こんな時間だし帰らせるのも危険だし…その…」


「…?」



私はチラリと時計を見やった。

午後9時半



そんなに長く意識を失っていたんだ。


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