佐野くんっ…!!
「ここまで来れば追ってこないだろ…」



息を切らしながら三井くんが振り返る。


理科実験室。


クラスメイトに女だって察せられる前に予防策として三井くんは私を連れ出した。





意外といい人…なのかな?





私は目の前にいる三井くんをじっと見つめる。

それに気付いた三井くんはどこか恥ずかしそうに顔を右手で隠しながら、



「な、なに…?なんか俺おかしい?」



ごにょごにょと聞いてきた。


私は首を横に振ってから、深々と頭を下げる。



「助けてくれてありがとう」


「……っ」



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