放課後は君と2人で
それからあたしたちは無言で歩き続ける。
蒼衣先輩がどこに向かっているのか分からない。
けどこの道はあたしが毎日通っている道だからいいけど…
どこへ行くか教えてほしい。
「あそこの店、寄っていい?」
突然前の方に見える小さなお店を指差してあたしに聞いてきた。
周りの店は華やかだが、蒼衣先輩の指差したお店は周りの店とは全く違っていた。
質素?
シンプルって言葉があっているのかな?
「いいですよ」
「ん、ありがと」
何があるのかな?
服とか?
お店の横に自転車を停め、お店を眺めてみた。
今までこんなお店があったのにも気付かなかった。
毎日通っていたのに…
「おいていくよ?」
口調は柔らかいが、ドアに手を掛けあたしを待っている蒼衣先輩の顔は『急げ』と言っているようだ。
たぶん顔が蒼衣先輩の本音だと思うからあたしはカギをかけ蒼衣先輩と店内へと進んでいった。