放課後は君と2人で



いつまでも店内にいるわけにはいかない…と思ったのでお店からでてみた。


「いたっ!」


自分の自転車のように、あたしの自転車に乗って平本先生がくれたジュースを飲んでいた。



「出ていくなら一言声を掛けて下さいよ!探しました」


「なんか真剣に考えているみたいだったから声掛けなかった」


「それでも…」


「何か良い物でもあった?」


ちょっ!まだ話の途中。
勝手に変えないでよ。


「良いのはあった?」


「…………ありました」


「それはよかった」



そう言って蒼衣先輩はあたしから視線を外して、
またジュースを飲み始めた。


ペダルに足を置きただボーッとしながらジュースを飲んでいる蒼衣先輩の姿は、
どこか悩んでいるようにも見えた。


蒼衣先輩は作業していても1つの事に集中すると力強い目になる。


けど今の蒼衣先輩の目からは、
その力強さが全く感じられない。




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