放課後は君と2人で
あたしなんかよりずっと物事を上手に運ぶことが出来る蒼衣先輩だって、
悩みがあって当然。
人間、誰にも悩みは付き物。
ズズズーっと、蒼衣先輩の飲み物が終わった音が聞こえた。
口からストローを離し丁寧にパックをたたみカバンに入れた。
「帰りますか」
「はい」
さっきまでの表情から一転して、
今は穏やかな表情をしている。
「家はどこら辺?送っていく」
「ここでいいですよ。
もう近いから…」
「イヤ、危ないから…」
あたしの家はここから歩いて20分位。
この先は住宅街が広がっていて暗くなったり1人なることが無い。
しかし…駅は反対方向にあるから蒼衣先輩はどんどん帰りが遅くなってしまう。
あたしよりも蒼衣先輩が危ないっ!
駅周辺は5時となればもう真っ暗。
街灯1つない。
………もし蒼衣先輩になにかあったら…
あたしがイヤだ。
だから…
「あたしはここで大丈夫なんで…さようなら。
あの自転車使ってください」