放課後は君と2人で
最後の片付け
いつもより早く起きてゆっくり歩きながら学校へ行った。
少しずつ緑の葉っぱが赤く色づいてきている。
「秋元さん」
校門を抜けて下駄箱に向かおうとしたら後ろから声をかけられた。
振り向かなくたって誰だってわかる。
「おはようございます。蒼衣先輩」
「おはよ、自転車なんだけど…
1年のとこに置いておいたから」
「ありがとうごさいます」
7時30分すぎにはまだほとんどの生徒が登校していない。
校門にはあたしたちだけ。
「手、出して」
「手?」
恐る恐る蒼衣先輩の前に手を出してみた。
「はい、これ」
「ん…?
何ですか、これ」
「昨日のお礼。アメだけど」
自転車のカギと小さなピンクの袋をあたしの手に置いてくれた。
前の時とは違う、水玉の袋。
「ありがとうございます」
「こっちも昨日は助かったよ。
電車に遅れるところだったし」
そっか…少しは蒼衣先輩の役にたてたんだ。
よかった。