放課後は君と2人で



お互い何も話さない。


いつもだったら必ずどちらかが話始める。


大抵はあたしの平本先生へのグチだけど…
今日はそのグチすら出てこない。



「これお願い」


「………はい」


蒼衣先輩があたしに本を渡してそれをあたしが本棚に戻す。


ただ、その繰り返し。



けどこの作業も今日で何度繰り返しただろう…
机の上の本がどんどん無くなっていく。


この本が無くなったら、
あたしの仕事はもう終わり。



「これ返したら終わりでいいよ」


「はい?」


3冊の本を手に持ち蒼衣先輩の横に立ち止まってしまった。


これを返したら終わりって…



「まだ本が残っていますよ?」


「いいよ、これは。
俺が後で入れておくから」


「あたしやります」



ついつい叫んでしまった。

それほど広くない図書館にあたしの大きな声が響き渡った。




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