放課後は君と2人で



あの時の梓の仕草を思い出した。


あたしが如月さんについて聞いたときに撫でていたあの指輪…



「あの指輪って如月さんがあげたやつだったんですか!
梓はいつも身に付けていますよ」


「それはよかった。
アズはたまに、ボケッとしているところがあるからどこかにおいていきそうで…」



あのしっかりしている梓がボケッとしているだなんて…
信じられない。


あたしの前では完璧に物事をこなす梓が…



「藤、俺らは先行くな。
お前も早く来いよ」


「わかった」



如月さんは奥の方へ消えていった。


お昼休みか。



「秋元さん、行くよ?」


「あ、はい。
わかりました」



見えなくなった如月さんの背中。


あたしも前を向き前を歩いている平本先生と蒼衣先輩の後ろを追った。


< 73 / 230 >

この作品をシェア

pagetop