私の運命、変えてみせます!
今日はあまりにも急に抱きしめられる。
そのせいで頭はノワールのことだらけで、どうしていいのか分からなくなってしまう。
もうこのままいっそのこと、ノワールと……なんて思うけどそれは逃げになってしまうのではないかと思ってしまう。
『お嬢さん』
耳元で吐息混じりにそう呼ばれると、甘い泥沼に落ちてしまいそうになる。
ノワールは仕事で私と関わるようになったのだから、これもきっと仕事のうちに決まってる。
こんなに切なくなるのなんて……私いらないよ。
離れたくない、この感情にも蓋をしたくない。
どうしたらいいのかなんて、誰も分からない。
『お嬢さんの心に迷いがあるのは、分かってます。俺も仕事の立場上、本来元いた世界に帰さなきゃいけないんです。でも……』
「ノワール」
ノワールの言葉を遮りながら、私もノワールを抱きしめた。
ここまで変われたのはノワールのお陰、だからその恩返しをしなきゃいけない。
変わった私の新しい姿を、たくさんの人に見せつけてやらなければ。
「私は元いた世界に帰る、ううん。帰りたい」
変わった自分ならきっと、自分を見失わずに前に進む事ができると思うから。
だから、この世界とはお別れをしよう。
これが最善のことだと自分の考えを信じるしかない。