私の運命、変えてみせます!


一度だけきつくノワールを抱きしめたあと、ノワールの腕を解くと寂しそうな表示で見つめられる。


ああ……もう、本当におかしな人。


こんな私を嫌がることもせずに、ずっと傍にいてくれた。


そんなあなたが私は……どうやら好きになってしまったようだ。


ふっと一つ小さく笑ってみせて、ノワールの頬を撫でてその肌の熱を感じ取る。


頬を撫でる私の手を掴まれたと思うと、初めて会ったあの時のように、鼻と鼻が触れるか触れないかの所でスンと匂いを嗅がれる。


そして嬉しそうに、にんまりと笑うとゆっくりと口を開いた。



『あー!良かった!お嬢さんに帰る気持ちがあって!』


「え……?」


『今までの俺の演技どうでした?』


「はい?」


『実はお嬢さんとの契約期限、明日まででして。帰るという気持ちなかったら、無理やり送り付けるつもりでいたんですけど、その必要もなさそうですね』



え、演技?今までのすべてが??


信じられない気持ちと怒りがふつふつと湧いて来る中、ノワールは楽しそうに笑いながら私の頭をぽんぽんと叩いた。


ということは、今の今までノワールの行動は全く意味のない行動で、それにも関わらず抱きしめたり優しくしてたっていうこと?


最悪にも程があるわよ、このイカれた男は……!






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