私の運命、変えてみせます!
胸に何かが刺さるようなそんな感覚を拭いたいけれど、ズブズブとその何かは深く深く刺さって抜けようとしない。
でもこれで何もかもが吹っ切れた、もうさっさと元の世界に帰ろう。
呆気ない終わり方もこの私らしい終わり方なんじゃないかと、そう自分に言い聞かせる。
『好意のない男に抱きしめられたり、くっついて来られるのって嫌悪感増して、嫌でも離れたくなるって昔聞いたことあって。試して見たんですけど効果抜群でしたね!』
「あ……」
ノワールの行動の意図が分かった途端、急に涙が出そうになる。
最初に嫌いだった色のワンピースを着た時、綺麗だと言ってくれたあの言葉は嘘じゃないよね……?
存在に対して価値があるって言ってくれたのも、違うよね……?
優しい彼の温もり全てが嘘だっただなんて、信じたくない。
いや……これが彼の仕事なんだから、煽てるのだって上手いに決まってる。
何一人で勝手に舞い上がって浮かれてたんだろう、本当に馬鹿みたい。
「ノワール、今までありがとうね」
『いえいえ、お代は結構ですので。お嬢さんの夢が叶えられて、俺もすごいやり甲斐がありました』
そう言って笑う彼の顔は、まるでピエロのようで本当の心は読めない。