私の運命、変えてみせます!


会いたかった人が今目の前で、私の心音を確認するように抱き寄せる。


少しだけ荒いその抱きしめ方なのに、それすら嬉しくて私は何度もノワールの名前を呼んだ。



「なんで、どうして……」


『はは。ちょっとした仕事のミスがあって』


「どんな?」



抱きしめられたまま私がそう質問すると、ノワールは少しだけ伸びた私の髪を手で梳かしていく。


くすぐったいその感覚にピクリと反応すると、ノワールは楽しそうに小さく笑った。



『本当は企業秘密ですけど、この案件は例外なので特別に教えちゃいますね。俺たちの仕事はこっちの世界での悩みを抱える人の心を磨いていき、願いを叶える代わりにそこから生まれた宝石を頂戴するんです』


「宝石……?」


『そう、こちらの人の心には原石が眠ってるんです。契約したあと、心に魔力を注ぎながら磨いていくと宝石が誕生します。それを収入源としています。かなり高価なものなので、利益はかなりのものになります』


「願いを叶えられたその後は、どうなるの?」


『記憶は自然と消えますが、叶えたものは変わることはありません。そうしてこちらの世界で新しく生まれ変わると言った所でしょうかね』



生まれ変わる……確かに私は向こうの世界にいって、大きく変わったことは事実だ。


でも夢のように忘れると言われたというのにハッキリと記憶は残っているし、おまけにこちらでの世界の人間に自分の記憶を忘れられているということになっていた。


それは一体どういうことなのだろうと考えるよりも先に、ノワールが察したのか抱きしめていた腕を解いて私を見つめた。





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