私の運命、変えてみせます!
ノワールの胸の中で仕方なく、ゆっくりと語り出すのをただじっと聞いていた。
『上からもしっかりと契約するようキツく言われてはいたんですけど、どうしても長くお嬢さんと居たくて。気づいたらお嬢さんの願いを叶えるふりをして、俺の自己満足でお嬢さんを俺の傍に置いてました』
少しずつ冷静になっていくノワールの声に、逆に今度は私の心臓がドキドキとうるさくなっていく。
私が向こうに居たいと願う気持ちと、ノワールの気持ちは一緒だった、それだけでも涙が零れそうになる。
『でもあの日、お嬢さんを帰した日、上からの警告があったんです。早くお嬢さんの宝石を回収しないと、上が直々にしかも無理やり心を奪う、と……』
「……」
『心自体を奪われたこちらの人の最後は、死を意味します。それだけは阻止しようと、無理やりあそこにゲートでこちらの世界に帰したんです。何もお嬢さんから奪わずに』
あの時そんな空気じゃなかったのに、ノワールはそんなことを抱えながら私に笑顔を浮かべていたのか。
なんと言う演技力だったんだろう、全然分からなかった。
『何も持って帰らなかったので、代わりに俺の魔力を捧げて来ました。まあ、全部は奪われてないので、空の旅は余裕ですよ』
「え、ちょっと待ってどういうこと?奪われたってなんで?」
『手柄がない奴に罰を与えるなんてこと当たり前ですよ。給料もきっちり引かれました』
「なんでそこまでしたのよ!」
『そんなの決まってるでしょう』
ゆっくり抱きしめる力を緩めたかと思えば、両手で私の頬を包み込んだ。