私の運命、変えてみせます!
突然の私の行動に、ノワールも流石に目を丸くした。
ちょっと一枚上手に取れたような感覚に、ふふんと鼻で笑って見せた。
「そのお嬢さんって呼び方やめてくれる?私もう成人済みよ?」
『おっとぉ〜こえはしつえい』
これは失礼と言っている割には、どこか楽しそうな謝り方だ。
しかし謝られたからには自由にしてやらねば。
「私の名前は、守連 咲(カミツレ サキ)」
『素敵なお名前で。お嬢さん』
「だから……お嬢さんはやめてくれる?」
『残念ながら、それは仕事上の決まりで名前はお呼びできないものでね。お嬢さんでご勘弁を』
この人に何言っても無駄ということを、ようやく学ぶ。
仕方ない……名前だけは我慢してやろう。
『さあ、お嬢さん。君の願いを叶えるための支度を始めよう』
そっと差し出された手とノワールの顔を交互に見つつ、この人しか私の帰り道を知らないという現実を受け入れ、決意を決めてその手に手を添えた。
どこからか香る、優しい香りが私を歓迎するかのように私達を包んだ。