私の運命、変えてみせます!
しばらくその道を歩き、何人かのすれ違う人にノワールが挨拶を交わしていく。
お洒落な看板が掛けられた店の前に来ると、ノワールが足を止め、手を離した。
そして扉を開けて、中へ入るように促され恐る恐る中へと入る。
軽やかな鐘の音が店内にこだまし、小さく肩を震わせた。
着替えというから服屋かと思いきや、視界に飛び込んできたのは色とりどりの布達だった。
何百種類もの布は、その身に彩られた色を強調するかのようにキラリと輝いた。
一歩奥へと足を踏み込むと後から扉の閉まる音が聞こえ、ノワールが私の横に立った。
『せっかくだから、一から仕立てて貰おうと思ってね』
「え……仕立てる?」
そう聞き返したのにノワールからの返答はない代わりに、にっと微笑まれた。
『クロレ、今日の仕入れはどう?』
誰もいない店内だと言うのに、誰かに向かって言うかのように声を発するノワールへ私は冷たい視線を送った。
流石にそこまで馬鹿なことはして欲しくないんだけど……
そんな私の思いと視線は届くはずもなく、ノワールは並べられた布にそっと触れ生地を確かめた。