私の運命、変えてみせます!
露店の店主は小さくドラゴンを叱りつけた後、驚くこともなくその縄はしごに足をかけてその背に上り荷物を取る。
私の世界で言う宅配便的存在なんだろう。
人の手ではなく、生き物を介して荷物を届けるという見慣れない光景に驚きつつも瞳を輝かせた。
知らない生活習慣、歴史、文化……たくさんの知らない事がここに詰まっている。
国を超えてではなく、世界を超えてそれを実感する。
『お嬢さん、ここの近くに俺のお気に入りの食堂があるんだけど……まだお腹に余裕ある?』
「ええ!もちろ――」
まだまだ序の口だと気合いを込めてそう言いつつ、ノワールに顔を向けようとすると、あまりにも近いその距離に思わずノワールの胸を押しのけた。
『うわっと……ど、どうかした??』
「な、なんでもなーーい!!」
必死に誤魔化しながらノワールから距離を取りつつも、高鳴る心臓をなんとか抑えようと無理やり笑ってみせる。
――相手はノワールなのに、何を動揺してるのよ私!!