私の運命、変えてみせます!


初めて出会った時なんて、鼻と鼻が擦れるギリギリの距離だったっていうのに。

ドラゴンに興奮して、ノワールにもビックリしちゃっただけよ。

ノワールにちゃんと向き合って、今度は私から手を差し出した。


「ほら!そのお気に入りの食堂に連れてってよ!」


そんな私に口角を上げて、私の手を握ったノワールはトントンと踵を2回鳴らした。

その動きを見て、その手を振り解こうとしたがもう遅い。

息をするのも忘れて、ノワールにしがみつくと地面の感覚はもうない。


『そんな怖がらないでよ、お嬢さん。俺がちゃんとお嬢さんのこと支えてるから、この国の景色をちょっと見てみなよ』


そう言われるものの、景色を楽しめるような余裕は私に持ち合わせていない。

首を横に振ると、仕方ないと小さくノワールが呟いたかと思えば、今度は体が軽くなった。

次はどんな魔法を使ったのかと思えば、ノワールに抱き抱えられていた。

少女漫画じゃあるまいし、こんなこと生きているうちにされることなんて思いもよらなかった。





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