私の運命、変えてみせます!
見慣れない街は私の心を大きく揺れ動かした。
ここなら私はきっと大きく変われる。
――もう、誤魔化さなくてもいいんだ。
肩の力が抜けると共に、見返してやるという闘志を燃やしながらもう一度ノワールを見た。
「私の願いを叶えることで、あなたに利益ってあるの?」
『それは企業秘密で、何も言えないね』
そう言うノワールの表情は仮面の下で、相変わらず読めない。
謎の多い人だけど、確かな安心はちゃんとここにある。
「私に振り回されて途中で投げ出さないでね?」
『それについてはご安心を。中途半端な事が大嫌いな質でね。さあて……お嬢さん、準備はいいかい?』
私に笑いかけるノワールはどこか楽しそうに声を弾ませた。
気合いを入れてこくりと頷くと、ノワールはきゅっと私を強く抱きしめて――
そのまま猛スピードで街の空を駆け巡った。