私の運命、変えてみせます!
少し場違いな所に来てしまったものだと思っていると、そっとノワールが腕を差し出してきた。
何をするものかと思って怪しい目を向けると、私の手を取ってその腕に掴ませた。
『しばらくの間は俺にエスコートさせて』
そう言って、歩き出すノワールに合わせるように私の足も動き出す。
ゆったりと流れる時間の中で、徐々に私の体調も元に戻り余裕が生まれていった。
周りを見渡せば、慎ましく歩くカップルや夫婦達の姿がちらほらと見える。
……もしや、傍から見たら私とノワールもそう見られなくもない?
だから、こうやってエスコートなどと言って、私を誘導しているのだろうか。
隣に歩く私は、ノワールを引き立たせるために存在しているように思えて少し哀しくなる。
バレないように斜め上を見上げ、ノワールを見れば穏やかな表情にため息を零しそうになる。
こんな整った顔に、こんな私が隣を歩いてノワールの評価が下がってしまったらどうしよう。
そんな感情に、腕に添える手を振りほどきたくなった。