私の運命、変えてみせます!
ガラス窓が特徴的なその建物に近づくと、ノワールが私の手を離し少し待っててと言って、宙へ浮いて上へと行ってしまった。
建物の屋根へと降り立つと、ここからはもうその姿は見えなくなってしまった。
「へえ〜物珍しいお客さんが来たもんだ!」
突然後からそう聞こえたかと思えば、見知らぬ男にひょいと顔を覗かれる。
この世界の人達は、初めましての人に顔を近づけるのが挨拶の一つなのであろうか。
驚いたまま固まっていると、その男は楽しそうに笑った。
深海のような深い青の長い髪を一つに束ね、髪と同じ色の瞳は全てを見透かすような瞳で吸い込まれそうになる。
鼻筋が通った中性的なその顔はどこか愛嬌があるものの、少しだけ寂しそうなそんな表情を浮かべているような気がした。
どうしたものかと声をかけようとするが、その前にその男に背中を押されて建物の路地裏へと誘導される。
本能が危険を察知し、逃げるチャンスを見計らっていると男が急に抱き寄せてきた。