私の運命、変えてみせます!
にっこりと笑っていきなり私の手を取ってきた男は、またしても私を抱きしめる。
「初めまして!僕は国一番のクライナゼットのシェーレ!ノワールとは昔からの付き合いで、そりゃあ秘密もたくさん知って――」
『クズ、いい加減にしろ』
勢いよくシェーレと名乗った男と剥がされ、ノワールに抱き寄せられた。
体も頭もついていかないこの状況を誰かに解説してもらわないと収集がつかない。
「もー。まったく人が挨拶してるっていうのに!」
『お嬢さん、こいつ綺麗な髪質の人見つけると抱きつくとかいう変態なんで気をつけてください』
「へ、変態……」
なんとなく納得してしまうと、シェーレさんが慌てて訂正に入る。
「ち、違うんだ!変態とかそういうんじゃなくて!魔力の問題!」
「魔力……?」
『こいつの仕事はクライナゼット。そちらでいう美容師って所かな。髪とハサミが共鳴すると、どうもこうなるらしい』
どうやらここはノワールが言ったように、ひん曲がったという言葉がお似合いのようだ。
あまりにも個性豊かすぎてついていけない。