私の運命、変えてみせます!
心地よい風にそっと目を閉じれば、カモミールのようないい香りが私を包む。
そのまま背もたれに体を預けると、シュッと何かが風を切る音が聞こえてくる。
「そのまま目は開けないでね。切ってる髪が目に入ると悪いから」
「え、今切ってるんですか?」
ハサミでカットしている感覚は一切ない。
先程から風を切る音だけが、私の鼓膜に響いては消えていく。
小さく笑うシェーレさんの声と、パチンと指を鳴らす音が同時にこだました。
「僕は魔力を体の内に秘めていて、刃物と共鳴することで仕事ができる。その刃物達は風と共存する石から出来ているんだ。僕の力で風を出してそれを利用して髪を切る」
「……シェーレさんが切ってるというか、何というかなんですね」
「ハサミに魂込めてるから、僕が切ってるのと一緒だよ」
手の感覚は一切感じられないけれど、徐々に髪の重さが軽くなっていくのが分かる。