私の運命、変えてみせます!
優しい温もりに包まれているように、心も温まりそしてゆっくりと重荷が消えていく。
ショートカットなんて小学生ぶりだろうか。
あの頃は異性なんて気にしないで無邪気に遊んでいたものだから、髪の毛が邪魔で仕方なかった。
周りを気にし始めてから、伸ばすようになったのは中学3年の時。
そのまま伸ばし続けて彼に出会った。
ポニーテールをしては項が綺麗だとやけに褒められて、照れ隠しのためにその都度髪を下ろすの日々。
あの頃は毎日がキラキラしていて、充実していた。
それは彼があってこそで、自分が努力した結果だ。
懐かしい記憶が蘇り、その記憶に蓋をするように涙をそっと流した。
「ごめんね、僕の髪の切り方は……髪達が記憶したものを最後に見せて終わらせるんだ」
シェーレさんのその言葉になるほどと、小さく頷いた。
悲しいというよりも、何故か妙にスッキリするのはそのせいなのだろうか。
そっと流れていく風の中で時折、ありがとうと聞こえてくるのは夢か現実か。
「シェーレさん……どうもありがとう」
涙を流しながらそっと呟くと、風が頬を撫でるように吹き抜けていった。