私の運命、変えてみせます!


赤くなった鼻を啜りながら、軽くなった髪と灰色のワンピースを外の自由に泳ぐ風達に踊らせた。

お店の中でシェーレと別れ、どこかへ行ってしまったノワールの帰りを待ちながら街を散策していた。

そっと短くなった髪をいじりながら、シェーレさんとの短いながらのやり取りを思い出す。

切り終わったと言って鏡の代わりに差し出されたのは大きな水晶玉で、そこに映る自分の姿に思わず目を丸くさせると、シェーレは喜びを込めて笑ってくれた。


『本当に髪を切っても素敵だね。ハサミ達も喜んでいたよ』

『ありがとうございます。すごく心が軽くなりました』

『バッサリって言ってたから、もう少し切っても良かったんだけど、注文が入ってたから惜しいところだけど』

『注文?』


私に注文を付けるような人は、この世界にはいないはずだ。

第一髪型にもう文句をつけられるのだけはごめんだ。

もう私はやりたいように生きるのだから。

そうは思ってても、まだ私のことを気にする誰かの存在があると思うと少し胸がザワついた。

そんな私にシェーレさんは大丈夫だと言い聞かせ、見送ってくれた。

プロが大丈夫と言うのだから、きっと心配はいらない。



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