私の運命、変えてみせます!
お店からさほど遠くない場所をプラプラと歩いていると、突然後ろから声をかけられる。
振り向けば見知らぬ女の子が、私の顔を覗くように背伸びをしていた。
どうしたものかと目線の高さを合わせると、女の子はそっと私の頭に何かを乗せた。
「幸あれ!」
そう言って満面の笑みを浮かべて、走り去っていく姿にキョトンとしつつ頭に乗せられた物をそっと手に取って見てみれば、それは色とりどりの花々を綺麗に編んだ花冠だった。
どういう意味合いで私に渡してくれたのかは分からないが、すごく心が満たされるようで思わず一人微笑んだ。
すると聞き覚えのある声に耳が反応する。
「ノワール!」
その人の名を呼んで、辺りを見渡せば上からすっと着地したノワールの姿があった。
驚いた私の顔を見て、ノワールも表情を変えた。
『今までも魅力的だったのに、更に磨きがかかりましたね、お嬢さん』
「上からの登場はビックリするからやめて……?」
『おっと、それは失礼』
言われた言葉に対してなんと返していいのか分からず、驚いたことだけを伝える。
そしてノワールも花冠の存在に気づくと、嬉しそうに笑みを浮かべた。