私の運命、変えてみせます!


それでもノワールは何も言わずに、優しくずっと抱きしめて撫でてくれた。

その優しさに壊された心が癒されていく。

ギャフンと言わせたくて、頑張ったつもりだったけど彼から言われた綺麗だという言葉は胸に響かなかった。


「ノ、ノッワール……」

『なんですか』


確かめたい、そう思ったら口は動いていた。


「私っ……綺麗、かな」


『――誰が何と言おうとも、お嬢さんは綺麗だ。俺が保証する』


ああ……やっぱりこの人の言葉にはこんなにも人を支えてくれる不思議な力がある。

悲しくて辛いのに、なぜかすごく安心するのはどうしてなんだろう。

そのままその安心感を確かめるように抱きしめながら泣いた。

しばらくの間ずっと泣いたけど、涙は枯れることはない。




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