私の運命、変えてみせます!
しかし不思議と涙を流す度に、心がゆっくりと落ち着いて胸の中に渦巻く感情諸共流れていくような感覚だった。
気づけば日は傾き空は茜色に染まり、1日の終わりを告げていた。
そっと抱きしめていた力を抜いて、顔を上げノワールの顔を覗き込んだ。
『お嬢さん……?』
「あはは、泣きすぎちゃった」
出した声が泣きすぎたせいで微かに枯れている。
恥ずかしさもあるけれど、泣いた自分の姿を見せた人にこれくらいの事で恥ずかしいと焦ることもない。
涙を優しくノワールが拭ってくれたかと思うと、ノワールがにんまりと笑った。
「なに?」
『お嬢さん、目が赤くなってまるでキジャーみたい』
「キジャー?」
『そうだな……こちらで言う小鬼?』
「人を化け物扱いしないでくれる?!」
キッと睨みつけるけど、なぜか自然と笑えて来ていつの間にかノワールと一緒になって笑っていた。
さっきまでの悲しみは全部消えないけれど、大きな山を一つ乗り越えたような感覚だった。
山あり谷あり、それが人生なのだと改めて実感する。