私の運命、変えてみせます!
この世界の楽しみ方
不思議な異世界へと戻ってきた私を、いつの間に呼び寄せて準備していたのか分からないけれど、街に住む人々みんなが私を祝うためのお祭りを開いていた。
空中移動の疲れはあっという間に消えて、笑顔で皆と一緒になって美味しいものを食べてたくさん踊った。
リズムのいい音楽に自然と足は動いて、ひらりと舞うワンピースのスカートが綺麗に円を描きながら広がった。
この世界の満月は二つでいつも過ごす夜よりも明るく、気持ちが晴れやかだった。
夜が更けても皆の興奮は収まることなく、祭りはずっと続いた。
「いや~こんなに気持ちが晴れやかなんてすごい!」
『ははは。それは良かった』
街の一角の食堂のバルコニーの椅子に腰掛けながら、楽しそうに踊ったりお酒を飲んだり笑っている街のみんなの姿を見て、私までも嬉しくなった。
隣に座るノワールも楽しそうに笑った。
食堂の女将さんが特別に、と持ってきてくれたお酒を二人で乾杯し、街の広場を眺めた。
「あまりにも盛大にお祝いされちゃったから、本当に失恋したのかよくわかんない」
『失恋なんかじゃないよ。ある意味の小さな冒険さ』
「冒険……ね」
まあ、この世界にいること自体が冒険と言ってもいいのだろう。