私の運命、変えてみせます!


とっぷり日が暮れる頃には、私のふらふら度がピークを迎えていてノワールの支えなしでは立っていられなくなっていた。


乗せてくれたドラゴンもどこか心配そうに、でももう遊んでくれないの?とでも言うような目で私を見つめていた。


グレイアさんにお礼を言うのもやっとで、私はふらふらしながら宿に戻ることにした。



『だからドラゴンの操縦は難しいと言ったでしょう?』


「ノワールと互角だったわ……」



ため息をつく私に、ノワールはどこか嬉しそうな声で笑っている。


疲れたと言えば疲れたけど、初めてだらけの体験にすごく充実した日だった。


そう思うと疲れも飛んで行って、私もノワールと一緒に笑いながら歩いた。


夕焼け空に包まれていく街を眺めながら、私は何か暖かいものに包まれているような気がした。


あれだけ悲しみに溺れていた私が、今じゃたくさんの笑顔で溢れかえっている。



『明日は何をしましょうか』


「えーっと、とりあえず美味しい夕ご飯食べたい」


『はは、了解です』



明日は何をするか、それはたくさんの可能性が秘めているということ。


今までの自分だったら自分なんかできない、自分には無理だと思えばそこから避けてきたというのに。


この世界ではそれがまったくないし、それを作らせない人がいる。


ここでは私自身に嘘を付かずに、やりたいことをやりたいだけやればいい。


今はここで、自分を甘やかす時間を作ってあげよう。


まだ少しだけ、この少しだけおかしくて変わった素敵な人の隣で……。

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