雨上がり、空を見上げた。
そうして生きてきた。
人とは仲良くしても必ず壁を作って壊されないように守ってきた。
それは相手の為でもあって自分の為でもあった
俺には時間の制限があまりに少なすぎるから。
周りはみんななんとなくそういうやつなんだなって踏み込んでくる事は無かった。
恋愛も告白されたら付き合ってを繰り返していた。
次第に人を愛する気持ちが分からなくなっていた。
だけど俺にはそれがちょうどいいなんて思って生きていたのに。
君だけは違った。
いとも簡単に人の心に踏み込んでくる。
優しく壊さないように踏み込んでくる。
いつからか、コロコロと表情を変える君から目を離す事が出来なくなっていた。
惹かれていた。
いつからかなんて分からないんだ。
一緒に雨の中傘をさして並んで歩いたあの時
いやそれよりもっと前かもしれない
初めて目が合った時に一人だけ笑っていたからだろうか
いやそれよりずっと昔に君と会っているような気さえしたんだ。
そんなのもう覚えていないくらい
歩くことのように
当たり前に君を好きになっていた。