雨上がり、空を見上げた。
あれから私がどのくらい泣いていたかなんて分からないし覚えてもいない。
何もかも忘れてしまうくらいただ泣いていた。
そのせいか瞼が重たい。
『今何時だろう。』
と、ひとり、部屋の中で呟いたが誰も答えてくれない。
そりゃそうだ。なんて自分で納得している始末だ
ふと周りを見渡すとコンテストの作品がズラリと並んでいて、雨の降る薄暗い日のそれは少し異様な空気を放っていて、気がついた時には全身に鳥肌が立っていた。
こわい。早く戻ろう。。。
そう思い、私は部屋の扉を開いた。
すると
『え…。』
私の足元にあったのは、あの、赤い傘だった。
忘れるわけがない。
あの懐かしくて愛おしい
私達の思い出そのものなのだから。
私は直感していた。
先輩もきっとここにいたんだ。
寒い雨の中、ずっといてくれたんだ。
震える手で傘を拾い、ぎゅっと抱きしめた。
まるでずっと、
先輩にこうしたかったかのように。