雨上がり、空を見上げた。




そこからあまりにも石原先輩がなんにも言わないから私は

『先輩、私、先に帰ります。』


と言い、席を立とうとした瞬間だった。

『待って。』

それまでふざけていた先輩の顔が真剣なものに変わり呼び止められたのだ。


『なんですか。』

すかさず聞き返す。
きっと言う気になったのだろう。
ずっと言おうかこの人なりに悩んでたのかもしれない。


『まだ引きずってるか。あいつのこと』

『引きずってるも何も私はずっと待ってます。先輩が戻ってくるまでずっと待ってるって決めたんです。』

『だめだ。』

自分が泣いていることに気が付いていた。

『なんでですか?!私がどうしようと先輩には関係ない!!』

声を荒げていた。
自分でもどうしようもなかった
石原先輩は心底申し訳なさそうな顔で俯いてしまった。

『黙ってないでなんとか言ってよ!!!』
歯がゆくてまた関係の無い石原先輩に当たってしまった。


すると先輩はすーっと息を吸いこんで短くはきだしこう言った


『あいつは、永瀬優斗っていう存在は、もうこの世界にいないんだ。死んだも同然だと思ってくれ。』










どういう事。
頭がついていかない。
状況を理解するまでに時間がかかった。

先輩がもういない?
死んだも同然って事は生きてはいるの?
いつから?
私は何も聞いてなかった。









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