雨上がり、空を見上げた。
夢を見ていた。
それは夢というより
ずっと昔の記憶の一部だった。
小さい頃から梅雨の時期がずっと嫌いだった。
雨は全てを悲しいものに変えちゃうから
だからいつも悲しくなって泣いていた私に
お母さんが赤い傘を買ってくれた
それを見てると不思議と元気が出た。
嬉しくなった私はいつでもその傘を持って遊びに出かけた。
梅雨の時期の公園には誰もいなかったけれど
私はそれでも大好きな傘があるから毎日出かけた。
その日も1人で公園に行ったんだ、
すると同じ年くらいの少年が
1人で雨に濡れながら泣いていた。
その少年は同じクラスの男子とは比べ物にならないくらい綺麗な顔をしていた。
虹花はその少年にすぐさま駆け寄り、
少年の頭上に傘をさしてあげた。
『どうしてないてるの?』
そう言うと少年は
今にも消えてしまいそうな顔で言った。
『ぼくね、20歳までいきられるか、分からない心臓の病気だったんだ。』
『………名前はなんていうの?』
『ゆうと。』
『ゆうとくんっていうの、いい名前だね!ゆうとくんは今もこうしてちゃんと生きてるよ、だから大丈夫。なにがあっても大丈夫なの!あ!この傘あげる!だから泣かないで!ね?』
小さかった私なりに目の前の少年をどうにか元気付けたかった。
『ほんと?!ほんとにこれがあれば大丈夫?』
『うん!この赤い傘お守りだから!』
『ありがとう!!ぼくこれ、大切にするね!』
『うん!治るって信じてようね!じゃあ私帰るね!』
そうして走り出した。
すると後から声がしたので振り返った。
『ねえ!なまえ!きみの名前なんていうの?』
『にじか!!!虹花だよ!』
そういってまた走り出した。
帰るなりずぶ濡れになっていた私を見た母にはさすがに怒られたんだっけ。笑
懐かしい。
あの少年は今も生きてるかな。