エリート外科医と過保護な蜜月ライフ
「じゃあ、久美ちゃんは外科に入院中なのか。まさか、主治医は兄貴とか?」

話を聞き終えた先輩は、真っ直ぐ立って私に苦笑した顔を向ける。すぐには言葉の意味が分からなくて、彼を見つめるだけ。

すると先輩は、自分の名札を指差した。

「堂浦柊也って外科医、いるだろ? 俺の兄貴なんだよ」

「えっ⁉︎」

そういえば、名字が一緒……。事故のショックが大きくて、堂浦先生の名前を聞いても、隆斗先輩と結びつかなかった。

誰かに似ていると思ったのは、堂浦先生に似ているからなんだ……。

「気がつかなかった? まあ、高校生の頃は、全然家族の話をしてなかったもんな」

「はい……。まさか、先輩が堂浦先生の弟さんだったなんて……」

でも、性格は真逆だと思う。隆斗先輩は、学生の頃から親しみやすく、社交的な人だった。

あんなぶっきらほな先生とは違って……。

「驚くよな。俺は、内科が専門なんだ。久美ちゃん、時間が作れたらお見舞いに行く。病室を教えて」
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